グラナダ(スペイン)

 

 

 

 

世界一周も後半、僕がスペインのアンダルシア地方、グラナダを訪れた時のお話。

日本の北と南の文化が違うように、スペインもまた北と南の文化が美しく異なる。

アンダルシア地方と呼ばれるその地域は、温暖な気候に小高い丘や山が続き、とても見晴らしが良い。
背の低いオリーブの木が羊飼いの日陰を作っている。

パエリヤを始め、タパスなどの料理も美味しく、治安も比較的良い。
静かに過ごせる観光地としておススメしたい。

 

 

 

 

 

過去にイスラム教徒に征服された際に混じり合った文化が残る美しい街、グラナダ。

街のお土産屋さんにも、ボスフォラス海峡を越えてやってきたモロッコの伝統工芸品などが並ぶ。

グラナダが有名である大きな理由、それは「アルハンブラ宮殿」の存在。

— イスラム建築の最高傑作。

高校の世界史の授業で先生が「レコンキスタによって、キリスト教徒がイスラム教徒からスペインの土地を奪い返した際に、この建築物は美しすぎて破壊されなかったらしい。」と教えてくれた。

ー 美しすぎて壊せない程の彫刻とはどんなものだろうか?

そう世界史の授業で知ってから、自分の目で確かめてみたいとずっと憧れていた場所。

 

 

 

 

 

キリスト教徒はアルハンブラ宮殿を破壊せず、一部手を加えキリスト教の宮殿にして後世に残した。

魅力的な庭園だった事に違いはない。

天井に施された、神憑った彫刻技術に人間がこんなものを作れるのかと訪れた人は不思議に思うだろう。

ー イスラム教は偶像崇拝が禁止されている。その代わりに、幾何学模様や彫刻が発達した。

という事実を知れば、少しは理解出来るだろうか。

「神は細部に宿る。」そんな言葉がどこからか聞こえてきそうだった。

 

 

 

 

 

また、アルハンブラ宮殿で僕はドイツのサンスーシ宮殿などでは見られなかった光景に出会った。

“あれ?ベンチで人が寝ている。”

“あのひと、さっきからずっと同じ場所にいなかったっけ?”

敷地が広く、見所もたくさんあるアルハンブラ宮殿を歩き回っているとそんなことに気がつく。

最初はそれを笑いつつも、ふと、疑問が浮かんだ。

ー 彼らより僕はここの雰囲気を楽しめているだろうか?

ツアーで歩き回る人に比べたら、バックパッカーのほうが好きに時間を使えるはず。

でも、せかせかと足早に歩き回っている様子はさほど変わらない。

目を閉じて休むその人は、ここで何を感じているだろうか?

同じ場所にずっと座るその人はなにを見ているのだろうか?

 

 

 

 

 

庭園のつくられた意味を、それがつくるよう命じた当時の人の気持ちで考えてみた。

手入れの行き届いた広い庭が、歩いて楽しまれた事にもちろん異論はない。

悩みを抱えてひとり歩く事もあれば、恋人や友人と会話をしながら歩く事もあったのだろう。

きっと一番好きなベンチがあったに違いない。

きっと一番好きな景色があったに違いない。

時間が過ぎるにまかせて、考え事にふけった時もあるだろう。

そんな妄想が次から次へと頭をよぎる

ー この場所の使い方に正解なんてない。ただベンチに横になるのも、ずっと同じ場所で過ごすのもおかしい事ではないじゃんか。

そんなふうに思い直した。

昔の人は、僕らの観光のためにこの宮殿を建てたわけではないのだ。

そんな当たり前なことを僕は忘れていたことに気づかされる。

美しい夕陽を見ながらアルハンブラ宮殿を後にし、その楽しい一日は暮れていった。

 

 

 

 

 

グラナダのある区域、サクラモンテ地区には白壁の美しい家が並ぶ。

賑わいのある市街から20分程小山を登るようにして歩くと辿り着ける。

これはアフリカのモロッコによくみられる白壁の家々。

住んでいる人もアラビア人系で町の中心部とは全く異なる雰囲気の世界に一気に引き込まれる。

生活もやや貧しいようだが、治安もよく観光客もグラナダの街を見下ろしによくやってくるようだ。

 

 

 

 

 

ふと、小さな教会を見つけて入ってみた。

聞こえてくる音に導かれてすすむと、小さな教会なのに立派なパイプオルガンが見える。

どうやら練習中のご様子。ここでしばらく足を休めて、優しい音に身体をゆだねて目を閉じる。

小さな教会はゆっくり休めるから好きだ。

頭の整理が追いつかない程、新しい物を観て、感じたことを整理出来る時間がそこにある。

 

 

 

 

 

また、サクラモンテ地区の小山を登りきって大昔に作られた城壁を越えて丘に出てみた。

そこには斜面を利用した洞窟式の住宅があることで少し知られているが、訪れる旅人は多くない。

ここの暮らしにインフラは整っていない。

どんな暮らしだろうか?想像するのも難しい。

それでも挨拶してくれるおばあちゃんがいて子供の笑い声が聞こえてくるから、その生活なりの幸せがあるのだろうと思う。

 

 

 

 

 

丘を歩いている途中、おもしろい景色に出会った。

あるはずもないようなところに、ソファが景色を見下ろすように置かれている。

僕の憧れてやってきたここアンダルシアの地の景色を独り占めしている人がいるみたいだ。うらやましい。

 

 

 

 

 

僕はグラナダでは おもしろい出会いに恵まれた。
フランス人の女の子のクロエ。
ゲストハウスでたまたま出会った彼女は、日本に留学していたらしく日本語もかなり話せる。

料理の学校を卒業し、住みやすい町と働き口を探しながら旅しているらしかった。

どうして外国の人はこうも絵になるのだろうか。カメラのレンズを覗きながらそううらやましく思った。

クロエの髪の毛のカールがふわふわして、風になびくのがとても綺麗だ。

 

 

 

 

 

昼間から飲むビールはうまい。

あちこちのテーブルに常にビールグラスが並んでいるから、何も気にせず昼間から飲める。しかも手軽に。

さっぱりとした小麦色の美味しいビール。サービスとしてついてくるタパス。

安くいただける生ハムの数々。いろんなトッピングがされた可愛らしいバゲットとディップ。

 

 

 

 

昼が終えると、スペイン人のシエスタ(昼寝)が始まる。

こんな暮らしもあるのか、と肌で感じた。

(ちなみにシエスタのせいで最終日にお土産が買えなかった・・・)

シエスタが終わると、長い夜が始まる。

街のバーはどこも人で溢れて、それぞれが会話を楽しんでいる。

バーでのイベント開始が23時からなんて当たり前。

男同士のキスだって当たり前。 *注意 僕は関わっていない。

そうしてグラナダの夜は更けて行った。


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