スペイン南部の街アルヘシラスから、フェリーに乗って2時間。
ずっとヨーロッパを旅してきた自分の目に飛び込んできたのは、どこか懐かしい風景だった。
タクシーを勧めるおっさん達やガイドの群れ。アジアだ。アジアを思い出す。この人だかり、彼らの表情、眼の前に広がる、秩序立ってない、雑然とした街並み。
エキゾチックで、危険な香りのする、そして、食事にはホトホト参ったモロッコの旅がここタンジェからスタートした。
タンジェは、地理的にヨーロッパとアフリカの中継地点に位置しており、昔から交通の要衝として栄えた。今でも、貿易は盛んであり、国際として栄えている街だ。
何気なく歩いていると、頻繁に露天商に出くわす。
洋服、靴、バッグ、雑貨など、日用品の類はなんでも売っている。
彼もそんな物売りの一人だ。
「へへっ、ピース^^」
タンジェは、モノの行き交う国際都市という性格上、距離的に非常に近いヨーロッパの影響を大きく受けている。
これはタンジェで撮った写真。
説明がなければ、ヨーロッパのどこかの国と言っても、おかしいと思う人はあまりいないんじゃないだろうか。
建物の様式、敷き詰められたタイルなど、まさにヨーロッパといった感じだ。
ちなみにこの広場は、「フランス広場」といって、完全に意識して造られている。
夜はこんな感じ。
街は、新市街と旧市街(メディナ)に分かれている。
新市街の方は、夜になっても比較的明るく、道路や歩道が広々としていて、人も疎らだ。上の写真のようなイメージ。
旧市街は、露天商がズラーっと先が見えないほど並び、人がわんさか道を行き来する。商人を冷やかしたり、身を乗り出して金額交渉したり、道端で雑談したり、みんな思い思い夜を過ごしている。
旧市街を歩くのは、楽しい
そんなタンジェという街の良い所は、1日で見て回れる広さ、そして、新市街と旧市街のバランス!
街の中心に、グラン・ソッコという広々とした広場があり、そこが、新市街と旧市街の境目になっている。大きな噴水と、目印となる時計塔があり、西洋風の公園といった感じ。広場内は、ヤシの木?と、芝生が適度に配置されており、地元モロッカンがベンチに腰掛けゆっくりとしている、そんな場所。
自分は、タンジェで滞在した3日間は、毎日この広場を起点に、街を観光して回った。
朝は、朝飯のパンと飲み物を持って、広場でモロッカン達がそれぞれ自由に過ごしているのを、ぼーっと観察する。ふと迷路に迷いたくなったら、雑踏と熱気の凄い旧市街へ。今日は、落ち着いて優雅に1日を過ごしたいと思うなら、新市街で、洋風のカフェ・レストランに遊びに行く、そういった、その日その時の気分で、遊び場所を変えるということが出来る。場所を変えるといっても、自分の足で行くことができる距離なのだが、少しの距離で、感じる時代や文化、目に映るモノの違いが激しい。そんなエキゾチックな街タンジェ。
旧市街の入り組んだ細道をずーと歩き続けて、いったい、どこまでこの迷路のような道は続くんだ、と
泣きそうになった時に、突如目の前に現れた、石造りの門の先にあるジブラルタル海峡に感動したタンジェ。
この街で、僕は彼と出会った。
そう、この記事にも何度か登場しているあの彼だ。
ピースがキマってる、怪しい匂いがぷんぷんする彼の名はハミッド(写真右)。
若い頃は、オランダで、伝説のホテルドアマンだった(自称)彼は、現在、ここ、タンジェで露天商を営んでいる。
タンジェに着いた初日、夜の街をブラブラしてると、道端でモノを売ってたハミッドに呼び止められたのが、彼との出会いだ。
この風貌は、絡んだら何か面白いことがある、そんな思いから、彼とタンジェの道路脇の地べたに座り、談笑しながら、彼の仕事の手伝いをした。
彼が昔オランダに住んでいた話、自分の旅した国・街の話、彼が伝説のドアマンだった話、日本とモロッコの文化の違い、彼が伝説のドアマンだった話、自分がモロッコに対する感想、彼がでn(ry)
彼は伝説のドアマンだったという話をする傍ら、ハシシ(大麻)を大量に、モロッカンに売りさばいていた。そんなダークな夜だったが、ハミッドと彼の友達たちと、モロッコ特有の甘い紅茶を飲みながら、いろんな話をしたのは、いい思い出だ。
※モロッコでも、大麻は違法
しかし、この後、自分とハミッドとの間に育まれた友情をぶち壊すあんな事件が起こるなんて、誰も想像だにしないだろう。
でも、書くのに非常に時間を要するので、その事件に関して書くのはまたの機会とする。
強制的にラクダに乗せられて、お金をボラレた話も
道をとぼとぼ歩いてたらハリラ(モロッコ版味噌汁)を、いたるところでもらった話も
砂漠の真ん中の宿で、スピッツの名曲ロビンソンを、気持ちよく歌ってたら、モロッカンが太鼓でセッションしてきて、さらに気持ちよくなった話も
バス乗ってたらお腹の調子が究極悪くなって、悶絶しそうだった話も
ハミッドに、綺麗な女性がいるという別荘に誘われ、しかし、二度と彼とは合うことのなかった話も
モロッカンの家でご馳走になった話も
思わぬ人からもらったレターの話も
これらは、全部モロッコであった話。
ヨーロッパから渡ってくる人であれば、大半が、モロッコの旅はタンジェがスタート地点だ。
あなたもタンジェの街から旅を始めて、ダーティでダークで、デンジャラス、だけど、魅力的なモロッコを堪能してみてはいかがだろうか。
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